放射線科とは?診療内容・対応する症状・選び方のポイント

免責事項: この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、医師の診断・治療に代わるものではありません。記事内容の正確性、適切性、有用性について一切保証するものではありません。ご心配の場合は、必ず医療機関を受診してください。

放射線科はCT・MRI・PETなどを使った精密な画像診断と、がんに対する放射線治療を専門とする診療科です。

放射線科とは

放射線科は、X線・CT・MRI・超音波・核医学検査などの画像診断技術と、放射線を用いた治療(放射線治療)を専門とする診療科です。現代の医療において、正確な診断と効果的な治療の両面で中核的な役割を担っています。

放射線科には大きく分けて「画像診断」と「放射線治療」の二つの専門領域があります。画像診断(放射線診断)では、CTやMRIなどの画像検査を実施し、その画像を読影(専門的に解釈)することで、体内の病変を発見・評価します。他の診療科の医師から検査依頼を受けて読影レポートを作成し、診断をサポートするのが主な業務です。また、画像ガイド下で行う低侵襲治療(IVR:インターベンショナルラジオロジー)も放射線科の専門領域です。

放射線治療は、がんに対して放射線を照射して腫瘍細胞を破壊する治療法です。外科手術や薬物療法とともに、がん治療の三本柱の一つとされています。臓器の温存が可能であること、体への負担が比較的少ないことなどが特徴で、がんの種類や進行度に応じて根治目的から緩和目的まで幅広く用いられます。放射線科医は、他科の医師からは直接見えない体の内部を画像や放射線で「見て・治す」専門家として、現代医療に不可欠な役割を果たしています。

放射線科が対応する主な症状・疾患

放射線科は画像診断と放射線治療の両面で幅広い疾患に対応しています。以下に代表的なものを挙げます。

【画像診断で対応する主な疾患・検査】

  • がんの発見と病期評価:CT・MRI・PET-CTなどの画像検査でがんの存在を検出し、腫瘍の大きさ・浸潤範囲・リンパ節転移・遠隔転移の有無を評価して、がんのステージ(病期)を判定します。
  • 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血):頭部CT・MRI・MRAで脳の病変を迅速に検出し、脳梗塞の範囲や出血量、脳動脈瘤の有無を評価します。緊急性の高い検査として重要です。
  • 心臓・血管疾患:冠動脈CT(心臓CT)で冠動脈の狭窄・石灰化を評価し、造影CT・MRAで大動脈瘤・大動脈解離・末梢血管の狭窄・閉塞を診断します。
  • 胸部疾患(肺がん・肺炎・間質性肺炎・肺塞栓症):胸部CTで肺の微細な病変を検出し、肺がんのスクリーニングや肺炎の範囲評価、肺塞栓症の診断に用います。
  • 腹部疾患(肝臓がん・膵臓がん・胆石・腎臓結石):腹部CT・MRI・超音波検査で腹部臓器の病変を詳細に評価します。造影CT・造影MRIでは臓器の血流パターンから病変の性質を判断できます。
  • 筋骨格系疾患(骨折・靭帯損傷・椎間板ヘルニア・腫瘍):MRIで軟部組織(靭帯・軟骨・筋肉・脊髄)の病変を評価し、CTで骨の詳細な構造を描出します。
  • 乳腺疾患(乳がんスクリーニング・精密検査):マンモグラフィ(乳房X線検査)や乳房MRIでの乳がん検出・評価を行います。
  • IVR(インターベンショナルラジオロジー):画像ガイド下で行うカテーテル治療や穿刺治療です。肝がんに対する動脈塞栓術(TACE)、喀血や消化管出血に対する動脈塞栓術、膿瘍のドレナージ、生検(組織採取)、血管内ステント留置などを、外科手術より低侵襲に実施します。

【放射線治療で対応する主ながん】

  • 頭頸部がん(咽頭がん・喉頭がん・口腔がん):声帯や嚥下機能の温存を目指して、放射線治療が根治的治療として広く用いられます。化学療法との併用(化学放射線療法)で治療効果を高めます。
  • 肺がん:手術が困難な場合や、早期肺がんに対する体幹部定位放射線治療(SBRT)、進行肺がんに対する化学放射線療法が行われます。
  • 食道がん:化学放射線療法が標準的な治療法の一つとして確立されており、手術に代わる根治治療として選択されることがあります。
  • 乳がん(術後放射線治療):乳房温存手術後に残存乳房への放射線照射を行い、局所再発のリスクを低減します。
  • 子宮頸がん:放射線治療(外部照射+腔内照射)が根治治療として重要な位置を占めており、化学療法との併用で高い治療効果が得られます。
  • 前立腺がん:強度変調放射線治療(IMRT)や小線源治療(ブラキセラピー)など、高精度な放射線治療が根治目的で広く行われています。
  • 脳腫瘍:手術後の補助放射線治療や、定位放射線治療(ガンマナイフ・サイバーナイフ)による脳転移の治療が行われます。
  • 骨転移の疼痛緩和:がんの骨転移による痛みに対し、放射線照射で痛みの軽減を図ります。緩和的放射線治療は多くの患者さんの生活の質を改善します。

受診すべきタイミングの目安

※以下はあくまで目安です。症状の重さや組み合わせにより緊急度は異なります。不安を感じたら早めに医療機関を受診してください。

放射線科を直接受診するケースは限られており、多くの場合は他の診療科からの検査依頼や治療紹介を通じて関わることになります。以下のような状況では、主治医に放射線科の検査や治療について相談してみてください。

  • がんと診断され、放射線治療が治療選択肢の一つとして提案された場合
  • がんの手術後に再発予防のための放射線治療を検討している場合
  • 手術が難しいがんに対して、臓器温存を目指した治療を希望する場合
  • がんの骨転移による痛みがあり、緩和治療を相談したい場合
  • 原因不明の症状が続き、CTやMRIなどの精密検査が必要と言われた場合
  • 健康診断の画像検査で異常を指摘され、精密検査が必要な場合
  • がんの治療効果を画像で評価する必要がある場合
  • IVR(カテーテル治療)が適応となる血管疾患や腫瘍がある場合
  • セカンドオピニオンとして放射線治療の専門医に意見を聞きたい場合

放射線治療については、がんの種類や進行度によって最適な治療法が異なるため、複数の治療選択肢を比較検討することが大切です。放射線治療専門医への相談を躊躇する必要はありません。

受診・診療の流れ

放射線治療を受ける場合の一般的な流れをご紹介します。画像診断については、主治医の検査オーダーに基づいて実施されます。

1. 初診・治療相談
放射線治療科の専門医が、がんの種類・進行度・全身状態を評価し、放射線治療の適応があるかを判断します。手術や薬物療法との比較・併用についても説明され、患者さんの希望を踏まえて治療方針を決定します。治療の目的(根治・緩和)、予想される効果、副作用、治療期間について詳しく説明を受けます。

2. 治療計画(シミュレーション)
治療用CTを撮影し、放射線を照射する範囲と方向を精密に計画します。放射線治療専門医と医学物理士が連携して、腫瘍に十分な線量を照射しつつ、周囲の正常組織への影響を最小限に抑える最適な照射計画を立案します。体に位置合わせ用のマーキングを行い、毎回同じ位置に正確に照射できるようにします。

3. 放射線治療の実施
治療計画に基づき、放射線治療装置(リニアック)を用いて照射を行います。1回の照射時間は通常10〜30分程度で、痛みはありません。根治的治療の場合は毎日(月〜金、週5回)×数週間にわたって照射を行います。通院で治療を受けることが可能です。

4. 経過観察とフォローアップ
治療期間中は週1回程度の診察で副作用の確認と対処を行います。治療終了後は定期的にCT・MRIなどの画像検査を行い、治療効果を評価するとともに、晩期の副作用がないかを長期的に観察します。

放射線科で使われる主な検査・治療法

放射線科では、最新の画像技術と放射線治療技術を駆使して診断と治療を行います。

画像診断

  • X線検査(レントゲン):最も基本的な画像検査で、胸部・腹部・骨などの概要を短時間で撮影します。骨折の診断、肺炎の評価、心臓の大きさの確認などに広く用いられます。
  • CT検査(コンピュータ断層撮影):X線を用いて体の断面画像を撮影します。造影剤を使用する造影CTでは、血管や臓器の血流パターンを詳しく評価でき、がんの検出や病期評価に必須の検査です。最新の多列CTでは数秒で全身を撮影できます。
  • MRI検査(磁気共鳴画像):強い磁場と電波を用いて体内の画像を撮影します。放射線被ばくがなく、軟部組織のコントラストに優れているため、脳・脊髄・関節・肝臓・骨盤内臓器の評価に特に有用です。拡散強調画像やダイナミック造影など、多彩な撮像法でさまざまな情報が得られます。
  • 超音波検査(エコー):超音波を用いてリアルタイムに体内を観察する検査です。被ばくがなく、繰り返し実施できるため、腹部臓器・甲状腺・乳房・心臓・血管などの評価に広く用いられます。穿刺生検のガイドにも使用します。
  • PET-CT検査:放射性物質で標識したブドウ糖(FDG)を注射し、がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、全身のがんの分布を検出する検査です。CT画像と重ね合わせることで、がんの位置を正確に同定できます。がんの転移検索や治療効果の評価に用いられます。
  • 核医学検査(シンチグラフィ):放射性同位元素(RI)を投与し、特定の臓器への集積を画像化する検査です。骨シンチグラフィ(骨転移の検索)、甲状腺シンチグラフィ(甲状腺機能の評価)、心筋シンチグラフィ(心臓の血流評価)などがあります。
  • マンモグラフィ:乳房をX線で撮影する検査で、乳がん検診の中核をなします。乳房を圧迫して薄くした状態で撮影し、微細な石灰化や腫瘤を検出します。
  • 血管造影検査:カテーテルを血管内に挿入して造影剤を注入し、血管の状態をX線で撮影する検査です。血管の狭窄・閉塞・動脈瘤の評価とともに、IVR治療にも用いられます。

放射線治療

  • 強度変調放射線治療(IMRT):照射ビームの強度を部位ごとに変化させることで、腫瘍の形状に合わせた精密な線量分布を実現します。周囲の正常組織への線量を低減でき、副作用の軽減につながります。
  • 体幹部定位放射線治療(SBRT):少数回(3〜5回程度)で大量の放射線を腫瘍にピンポイントで照射する高精度治療です。早期肺がんや肝がんなどに対して、手術に匹敵する効果が報告されています。
  • 定位放射線照射(SRS/SRT):脳腫瘍や脳転移に対して、1回または少数回で集中的に放射線を照射する治療です。ガンマナイフやサイバーナイフといった専用装置が用いられます。
  • 小線源治療(ブラキセラピー):放射線源を体内(腫瘍の近く)に挿入して、至近距離から高線量を照射する治療法です。子宮頸がん・前立腺がんなどに用いられ、外部照射との併用で治療効果を高めます。
  • 粒子線治療(陽子線治療・重粒子線治療):陽子や重粒子(炭素イオン)を用いた放射線治療で、体の深部で集中的にエネルギーを放出する特性(ブラッグピーク)を利用して、がんにより精密な照射が可能です。一部のがんに対して保険適用されています。
  • IVR(インターベンショナルラジオロジー):画像ガイド下での低侵襲治療の総称です。血管内カテーテル治療(動脈塞栓術・ステント留置・血栓溶解術)、CTガイド下生検・ドレナージ、ラジオ波焼灼術(RFA)などが含まれます。

放射線科の選び方・ポイント

放射線科に関連する医療機関を選ぶ際のポイントをご紹介します。

  • 放射線科専門医の在籍:日本医学放射線学会が認定する「放射線診断専門医」や「放射線治療専門医」が在籍している医療機関では、専門性の高い画像診断と放射線治療が期待できます。
  • 治療装置の種類と世代:放射線治療を受ける場合は、IMRT・SBRT・画像誘導放射線治療(IGRT)などの高精度治療が実施可能な最新の治療装置を備えた医療機関が望ましいです。
  • がん種別の治療実績:ご自身のがんの種類に対する放射線治療の症例数や治療実績が豊富な医療機関を選ぶことが、治療の質に直結します。
  • チーム医療の体制:放射線治療は、放射線治療専門医・医学物理士・放射線技師・看護師がチームで行います。医学物理士が在籍し、治療計画の品質管理を行っている医療機関は安全性が高いと言えます。
  • 他科との連携:がん治療は外科・腫瘍内科・放射線治療科が連携して行うことが重要です。キャンサーボード(多職種による症例検討会議)が定期的に開催されている医療機関では、患者さんにとって最適な治療方針が検討されます。
  • 通院治療の利便性:放射線治療は数週間にわたって毎日通院する必要があるため、自宅からの通いやすさは重要な要素です。一部の医療機関では患者さん向けの宿泊施設を用意しています。

よくある質問(FAQ)

  • Q. 放射線治療は痛みがありますか?

    A. 放射線の照射自体には痛みはありません。毎回の治療は、治療台に横たわった状態で装置が体の周りを回りながら照射を行い、所要時間は通常10〜30分程度です。ただし、治療が進むにつれて照射部位の皮膚の赤みや粘膜炎などの副作用が出現することがあり、これに伴う痛みが生じる場合があります。

  • Q. CT検査やMRI検査で被ばくの心配はありますか?

    A. CT検査ではX線を使用するため一定量の被ばくがありますが、医学的に必要な検査による被ばくの利益はリスクを大きく上回ると考えられています。MRI検査は磁場と電波を使用するため、放射線被ばくはありません。検査の必要性について不安がある場合は、主治医や放射線科医にご相談ください。

  • Q. 放射線治療を受けると周囲の人に放射線の影響がありますか?

    A. 体外から照射する放射線治療(外部照射)の場合、治療後に体から放射線が出ることはないため、周囲の方への影響は一切ありません。小線源治療や核医学治療(RI内用療法)の一部では、一時的に体内に放射線源があるため行動制限が設けられることがありますが、医療スタッフが適切に指導します。

  • Q. 放射線治療の副作用にはどのようなものがありますか?

    A. 副作用は照射部位によって異なります。治療中〜終了直後に出る「急性期の副作用」として、照射部位の皮膚炎・粘膜炎・倦怠感・食欲低下などがあります。治療後数か月〜数年して出る「晩期の副作用」として、照射部位の組織の線維化・機能低下などがまれに生じることがあります。現代の高精度放射線治療では、正常組織への線量を最小限に抑えることで副作用の軽減が図られています。

  • Q. 放射線治療と手術、どちらが良いのですか?

    A. がんの種類・進行度・患者さんの全身状態・希望によって最適な治療法は異なります。一概にどちらが優れているとは言えません。手術と放射線治療で治療成績が同等とされるがん(例:早期の喉頭がん、前立腺がんなど)もあります。臓器温存を重視する場合は放射線治療が有利なこともあります。キャンサーボードで多角的に検討した上で、患者さん自身が納得できる治療を選択することが大切です。

  • Q. MRI検査を受けられない人はいますか?

    A. 心臓ペースメーカーや人工内耳など、体内に金属製の医療機器が埋め込まれている方はMRI検査を受けられないことがあります(MRI対応型の機器であれば可能な場合もあります)。また、閉所恐怖症の方は、検査中に不安を感じることがあるため、事前にご相談ください。検査前に詳しい問診がありますので、体内の金属の有無について正確にお伝えください。

  • Q. 造影剤は安全ですか?

    A. CTやMRIで使用する造影剤は、一般的に安全性の高い薬剤です。ただし、まれにアレルギー反応(蕁麻疹・吐き気・呼吸困難など)が起こることがあります。また、腎機能が低下している方ではCT造影剤が腎機能をさらに悪化させる可能性があるため、事前の血液検査で腎機能を確認します。過去に造影剤でアレルギー反応が出たことがある方は、必ず事前にお伝えください。

  • Q. PET-CT検査はどのようながんで有用ですか?

    A. PET-CT検査は、肺がん・大腸がん・悪性リンパ腫・食道がん・頭頸部がん・乳がん・膵臓がんなど、多くのがんの転移・再発の検索や治療効果の判定に有用です。ただし、胃がんの一部や腎がん・前立腺がんなどではFDGの集積が低く、検出が難しいことがあります。検査の適応は主治医が判断します。

  • Q. 放射線治療は何回くらい通院する必要がありますか?

    A. 治療回数はがんの種類、治療の目的(根治・緩和)、照射技術によって異なります。根治的治療では25〜35回(5〜7週間、毎日通院)が一般的です。体幹部定位放射線治療(SBRT)では3〜5回程度で済むこともあります。骨転移の疼痛緩和照射では1〜10回程度です。具体的な回数は治療計画時に放射線治療医から説明を受けます。

  • Q. 放射線治療は仕事を続けながら受けられますか?

    A. 外部照射による放射線治療は通院で受けることができ、1回の治療時間は短いため、多くの方が仕事を続けながら治療を受けています。ただし、治療が進むにつれて倦怠感や副作用が出ることがあるため、無理のないスケジュール調整が必要です。職場と相談して、治療のための通院時間を確保できるよう調整することをおすすめします。

まとめ

放射線科は、CTやMRIなどの画像診断による正確な疾患の評価と、放射線治療によるがんの治療を専門とする診療科です。画像診断は現代医療のあらゆる場面で不可欠であり、放射線治療は体への負担が比較的少なく臓器温存も可能な治療法として重要な選択肢となっています。がんの治療方針で迷った際には、放射線治療専門医に相談してみることをおすすめします。

編集: 病院クチコミ検索 編集部 / 最終更新: 2026年02月

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