整形外科とは?診療内容・対応する症状・選び方のポイント

免責事項: この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、医師の診断・治療に代わるものではありません。記事内容の正確性、適切性、有用性について一切保証するものではありません。ご心配の場合は、必ず医療機関を受診してください。

整形外科は骨・関節・筋肉・靭帯など運動器の疾患やケガを専門に診療し、リハビリテーションとも連携する科です。

整形外科とは

整形外科は、骨・関節・筋肉・腱・靭帯・神経など、体を支え動かすための運動器系の疾患やけがを専門に診療する診療科です。骨折や捻挫などの外傷から、腰痛・肩こりなどの慢性的な痛み、関節リウマチや変形性関節症などの慢性疾患まで、幅広い運動器の問題に対応しています。

整形外科は「美容整形」と混同されやすいですが、まったく異なる診療科です。美容整形は形成外科や美容外科の領域であり、整形外科は運動機能の回復と改善を目的とした診療科です。名前の由来はギリシャ語の「orthos(まっすぐ)」と「paideia(子ども)」からきており、もともとは子どもの体の変形を矯正する分野として始まりました。

現代の整形外科は、スポーツ医学・脊椎外科・関節外科・手外科・リウマチ科・骨粗鬆症治療・リハビリテーション医学など多くの専門分野に分かれています。手術による治療だけでなく、薬物療法、注射療法、装具療法、リハビリテーションなど、保存的治療も重要な柱となっています。

整形外科の治療の最終目標は、患者さんが痛みなく日常生活を送れるよう、運動機能を最大限に回復・維持することです。超高齢社会を迎えた日本では、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防と治療がますます重要になっています。

整形外科が対応する主な症状・疾患

整形外科では、以下のような骨・関節・筋肉・神経に関する幅広い症状・疾患に対応しています。

  • 骨折:転倒や交通事故による四肢の骨折、高齢者に多い大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折、圧迫骨折などに対し、ギプス固定や手術による整復固定を行います。
  • 捻挫・靭帯損傷:足関節捻挫、膝の前十字靭帯(ACL)損傷、側副靭帯損傷など、スポーツや日常生活で起こる靭帯の損傷に対応します。
  • 腰痛・坐骨神経痛:腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などによる腰痛や下肢のしびれ・痛みを診断・治療します。
  • 頸部痛・肩こり:頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、頸椎後縦靭帯骨化症などによる首の痛みや腕のしびれに対応します。
  • 変形性関節症:膝関節や股関節の軟骨がすり減り、痛みや動きの制限が生じる疾患です。保存的治療から人工関節置換術まで、段階的な治療を提供します。
  • 肩関節周囲炎(五十肩):肩の関節周囲に炎症が起き、痛みと可動域制限が生じます。リハビリテーションと注射療法で治療します。
  • 腱鞘炎・ばね指:指の腱を包む腱鞘が炎症を起こし、指の動きが悪くなったり引っかかる症状に対応します。
  • 手根管症候群:手首の神経が圧迫され、手のしびれや握力低下が起こる疾患です。軽症は装具固定で、重症は手術で治療します。
  • 半月板損傷:膝関節内の半月板が損傷し、膝の痛みやロッキング(膝が引っかかって動かなくなる症状)が起こります。関節鏡手術で治療することが多いです。
  • アキレス腱断裂:スポーツ中に多い損傷で、保存的治療(ギプス固定)または手術による腱の縫合を行います。
  • 骨粗鬆症:骨密度が低下し骨折しやすくなる疾患で、薬物療法、運動指導、栄養指導で骨折予防を行います。
  • 関節リウマチ:自己免疫疾患により関節に慢性的な炎症が生じ、進行すると関節が変形します。薬物療法と手術を組み合わせて治療します。
  • 側弯症:脊柱が横に曲がる変形で、成長期の子どもに多く見られます。装具療法や重症の場合は手術を行います。
  • 肉離れ:急な運動により筋肉の線維が部分的に断裂した状態です。安静、圧迫、冷却を基本とした治療を行います。
  • 外反母趾:足の親指が外側に曲がる変形で、痛みや歩行障害を伴います。装具やインソールによる保存的治療から手術まで対応します。
  • テニス肘・ゴルフ肘:肘の外側や内側の腱に炎症が生じ、物を握ったりひねったりする動作で痛みが出る疾患です。
  • 野球肩・野球肘:投球動作の繰り返しにより肩や肘に障害が起こるスポーツ障害で、成長期の若年者に特に注意が必要です。

受診すべきタイミングの目安

※以下はあくまで目安です。症状の重さや組み合わせにより緊急度は異なります。不安を感じたら早めに医療機関を受診してください。

以下のような症状がある場合は、整形外科の受診を検討してください。

すぐに受診が必要な場合:

  • 転倒・衝突などのけがで激しい痛みがあり、手足が動かせない場合(骨折の可能性)
  • 関節が明らかに変形している、または異常な方向に曲がっている場合(脱臼の可能性)
  • スポーツ中に「ブチッ」という音がして歩けなくなった場合(靭帯・腱の断裂の可能性)
  • 手足のしびれとともに排尿・排便の障害がある場合(脊髄の圧迫の可能性)

早めの受診が望ましい場合:

  • 腰痛が2週間以上続いている場合
  • 膝や股関節の痛みで階段の上り下りがつらくなってきた場合
  • 手や指のしびれが繰り返し起こる場合
  • 肩が上がらなくなり、日常生活に支障が出ている場合
  • スポーツ後に特定の部位の痛みが続く場合

定期的な受診が推奨される場合:

  • 骨粗鬆症と診断され、治療薬を服用している場合
  • 関節リウマチで定期的な経過観察が必要な場合
  • 人工関節の手術後、定期的なフォローアップが必要な場合
  • 側弯症の経過観察が必要な成長期のお子さんの場合

受診・診療の流れ

整形外科を受診する際の一般的な流れは以下のとおりです。

1. 受付・問診

受付後、問診票に痛みの部位、発症時期、きっかけ(外傷・スポーツ・特になし)、痛みの程度、日常生活への影響、既往歴などを記入します。他院での検査結果(レントゲンやMRI画像データ)がある場合は持参してください。

2. 医師の診察

医師が痛みのある部位を視診・触診し、関節の可動域、筋力、感覚の検査、整形外科特有の徒手テスト(ラセーグテスト、マクマリーテストなど)を行います。歩き方や姿勢の観察も重要な診察情報です。

3. 画像検査

レントゲン検査で骨や関節の状態を確認します。必要に応じてMRI検査(椎間板、靭帯、軟骨の詳細な評価)、CT検査(複雑な骨折の3D評価)、超音波検査(筋肉・腱のリアルタイム評価)を追加します。骨粗鬆症の診断には骨密度検査(DEXA法)を実施します。

4. 診断・治療方針の決定

検査結果をもとに診断を行い、治療方針を提案します。多くの場合、まず保存的治療(薬物療法・注射・リハビリテーション・装具)を試み、効果が不十分な場合に手術を検討する段階的なアプローチをとります。

5. 治療の実施

保存的治療として、消炎鎮痛薬の処方、関節注射(ヒアルロン酸注射やステロイド注射)、物理療法(温熱・電気刺激・牽引)、理学療法士によるリハビリテーション、装具やコルセットの処方などを行います。手術が必要な場合は、術前検査を経て手術を実施します。

整形外科で使われる主な検査・治療法

整形外科では、運動器の状態を的確に評価し、最適な治療を行うために以下のような検査・治療法が用いられます。

主な検査:

  • レントゲン検査:骨折、関節の変形、骨の配列異常などを確認する最も基本的な画像検査です。荷重時と非荷重時の撮影で関節の不安定性を評価することもあります。
  • MRI検査:椎間板ヘルニア、靭帯損傷、半月板損傷、腱板断裂など、レントゲンでは見えない軟部組織の異常を詳細に評価します。放射線被曝がない安全な検査です。
  • CT検査:複雑な骨折の術前評価や、脊椎の骨の状態を3次元的に把握するために使用します。手術計画の立案に欠かせません。
  • 骨密度検査(DEXA法):腰椎と大腿骨の骨密度をX線で測定し、骨粗鬆症の診断と治療効果の判定に使用します。
  • 超音波検査:筋肉、腱、靭帯の損傷をリアルタイムで観察できます。注射の際のガイドとしても使用されます。
  • 神経伝導速度検査・筋電図:手根管症候群や肘部管症候群など、末梢神経の障害を電気的に評価します。

主な治療法:

  • 薬物療法:消炎鎮痛薬(NSAIDs)、アセトアミノフェン、筋弛緩薬、神経障害性疼痛治療薬、骨粗鬆症治療薬、抗リウマチ薬などを症状に応じて処方します。
  • 注射療法:関節内へのヒアルロン酸注射(変形性関節症)、ステロイド注射(炎症の強い関節炎や腱鞘炎)、神経ブロック注射(脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアによる痛み)を行います。
  • リハビリテーション:理学療法士の指導のもと、筋力トレーニング、ストレッチ、関節可動域訓練、歩行訓練などを行い、運動機能の回復を図ります。
  • 装具・コルセット療法:腰椎コルセット、膝サポーター、足底板(インソール)、頸椎カラーなどの装具で患部を保護・固定します。
  • 関節鏡手術:膝や肩の関節に小さなカメラを挿入し、半月板や靭帯の修復、関節内のクリーニングを行う低侵襲手術です。
  • 骨接合術:骨折部をプレート、スクリュー、髄内釘などの金属で固定し、骨の癒合を促進する手術です。
  • 人工関節置換術:変形性膝関節症や変形性股関節症で関節の破壊が進んだ場合に、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。
  • 脊椎手術:椎間板ヘルニア摘出術、脊柱管拡大術、脊椎固定術など、脊椎の病態に応じた専門的な手術を行います。

整形外科の選び方・ポイント

自分に合った整形外科を選ぶために、以下のポイントを参考にしてください。

  • リハビリテーション施設の充実度:整形外科治療ではリハビリテーションが非常に重要です。理学療法士が在籍し、十分なリハビリ機器とスペースが整備されているかを確認しましょう。
  • 医師の専門分野:整形外科は領域が広いため、医師の専門(脊椎・関節・スポーツ・手など)を確認しましょう。腰の症状なら脊椎専門医、膝の問題なら関節専門医が適しています。
  • MRI等の画像検査設備:MRIを院内で撮影できるクリニックは、診断までの時間が短縮されます。外部の検査施設に依頼する場合は時間がかかることがあります。
  • スポーツ外来の有無:スポーツによるけがや障害の場合は、スポーツ医学に詳しい医師がいる施設を選ぶと、競技復帰を見据えた適切な治療計画を立ててもらえます。
  • 手術が必要な場合の連携体制:クリニックで手術に対応していない場合、手術が可能な病院との連携体制が整っているかを確認しましょう。紹介がスムーズに行える体制が重要です。
  • 通院のしやすさ:整形外科はリハビリのために週に複数回の通院が必要になることがあります。自宅や職場から通いやすい場所にあることは、治療を継続する上で大切です。

よくある質問(FAQ)

  • Q. 整形外科と接骨院・整骨院の違いは何ですか?

    A. 整形外科は医師が診察・検査・診断・治療(手術を含む)を行う医療機関です。レントゲンやMRIなどの画像検査を実施でき、薬の処方も可能です。接骨院・整骨院は柔道整復師が施術を行う施設で、主に骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷に対する施術が保険適用となります。症状の原因を正確に診断するためには、まず整形外科を受診することをおすすめします。

  • Q. 腰痛で整形外科を受診する目安は?

    A. 痛みが2週間以上続く場合、下肢にしびれや痛みが広がっている場合、排尿・排便に異常がある場合、夜間の安静時にも痛みが強い場合は早めに受診してください。軽い腰痛でも長引く場合は、原因を特定するために整形外科での検査をおすすめします。

  • Q. 骨折したらどのくらいで治りますか?

    A. 骨折部位や骨折の種類、年齢、全身状態によって異なりますが、一般的な四肢の骨折で4〜12週間程度です。手の指の骨折は3〜4週間と比較的早く、大腿骨骨折は8〜12週間以上かかることがあります。骨粗鬆症がある場合は治癒が遅れることがあります。

  • Q. 膝の人工関節手術を受けたら、正座はできるようになりますか?

    A. 人工膝関節置換術後は、膝の曲がりが改善し日常生活の多くの動作が楽になりますが、正座が完全にできるようになるとは限りません。術後のリハビリの成果や個人差がありますが、痛みなく歩行・階段昇降・椅子からの立ち上がりができることを主な目標として治療を行います。

  • Q. 骨粗鬆症の検査はいつから受けるべきですか?

    A. 閉経後の女性は骨密度が急速に低下するため、50歳以降は骨密度検査を受けることをおすすめします。骨折歴がある方、ステロイド薬を長期間服用している方、過度なダイエット経験がある方は、より早い時期からの検査が推奨されます。

  • Q. スポーツ中にけがをしたら、まず何をすべきですか?

    A. 応急処置として「RICE処置」が基本です。Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)を行い、痛みや腫れを最小限に抑えてください。その後、できるだけ早く整形外科を受診して正確な診断を受けましょう。

  • Q. リハビリはどのくらいの頻度で通うべきですか?

    A. 症状や治療の段階によって異なりますが、急性期は週2〜3回、回復期は週1〜2回が一般的です。理学療法士から自宅でできるセルフエクササイズの指導も受けられますので、通院と自主トレーニングを組み合わせることで効果が高まります。

  • Q. 肩こりで整形外科を受診してもよいですか?

    A. もちろん受診してください。単なる肩こりと思っていても、頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどの疾患が隠れている場合があります。特に腕や手のしびれを伴う場合は、早めの受診をおすすめします。原因に応じた適切な治療やリハビリで改善が期待できます。

  • Q. 子どもの成長痛は受診が必要ですか?

    A. 夕方〜夜間に足を痛がり、翌朝には治まるような典型的な成長痛は、成長に伴う一時的なもので心配ないことが多いです。ただし、痛みが強い・長引く・特定の部位が腫れているなどの場合は、骨端症(オスグッド病など)やその他の疾患の可能性があるため、整形外科を受診してください。

まとめ

整形外科は、骨・関節・筋肉・靭帯・神経などの運動器系の疾患やけがを専門に治療する診療科です。骨折や捻挫などの急性外傷から、腰痛・膝の痛み・骨粗鬆症などの慢性的な問題まで、あらゆる年代の運動器のトラブルに対応しています。リハビリテーションを含む保存的治療から、関節鏡手術・人工関節手術・脊椎手術などの専門的な手術治療まで、段階的に最適な治療を提供します。体を動かすことに関する痛みや不安がある場合は、お気軽に整形外科にご相談ください。

編集: 病院クチコミ検索 編集部 / 最終更新: 2026年02月

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