耳鼻咽喉科とは?診療内容・対応する症状・選び方のポイント

免責事項: この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、医師の診断・治療に代わるものではありません。記事内容の正確性、適切性、有用性について一切保証するものではありません。ご心配の場合は、必ず医療機関を受診してください。

耳鼻咽喉科は耳・鼻・のどに関する症状を専門に診療し、花粉症やめまい、聴覚障害にも幅広く対応する診療科です。

耳鼻咽喉科とは

耳鼻咽喉科(じびいんこうか)は、耳・鼻・のど(咽頭・喉頭)・口腔・頸部を専門的に診療する診療科です。これらの器官は呼吸・嚥下(飲み込み)・発声・聴覚・嗅覚・味覚・平衡感覚といった日常生活に欠かせない機能を担っており、耳鼻咽喉科ではそれらの異常を幅広く診察・治療します。

「耳鼻科」と略されることが多いですが、正式には「耳鼻咽喉科」であり、のどや声帯、さらに頭頸部領域の疾患も診療範囲に含まれます。内科が全身的な症状を広く診るのに対し、耳鼻咽喉科は耳・鼻・のどの局所に対して直接的な処置や治療を行える点が大きな特徴です。たとえば、鼻の奥を内視鏡で直接観察したり、耳あかの除去や鼓膜の処置を行ったりと、専門的な器具を用いた精密な診療が可能です。

また、近年ではアレルギー疾患の増加に伴い、花粉症やアレルギー性鼻炎の治療、さらには舌下免疫療法などの体質改善治療にも力を入れる医療機関が増えています。小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんが受診する診療科であり、風邪症状から難聴、めまいまで多岐にわたる症状に対応しています。

耳鼻咽喉科が対応する主な症状・疾患

耳鼻咽喉科では、以下のような多様な症状や疾患に対応しています。

  • 急性中耳炎・滲出性中耳炎:耳の痛み、耳だれ、聞こえにくさを伴う中耳の炎症です。特にお子さんに多く見られ、風邪をきっかけに発症することがあります。
  • 外耳炎・外耳道湿疹:耳の穴の皮膚に炎症が起きた状態で、かゆみや痛みが生じます。耳かきのしすぎが原因となることもあります。
  • 突発性難聴:ある日突然、片方の耳が聞こえなくなる疾患です。早期治療が重要とされており、発症後できるだけ早い受診が推奨されます。
  • 耳鳴り:外部に音源がないのに耳の中で音が聞こえる症状です。ストレスや加齢、内耳の障害など原因はさまざまです。
  • めまい(良性発作性頭位めまい症・メニエール病など):内耳の平衡機能の異常によって起こるめまいは、耳鼻咽喉科の専門領域です。回転性めまいやふらつきが繰り返し起こる場合に受診が検討されます。
  • アレルギー性鼻炎・花粉症:くしゃみ、鼻水、鼻づまりを主な症状とするアレルギー疾患です。季節性(花粉症)と通年性(ダニ・ハウスダストなど)があります。
  • 急性副鼻腔炎・慢性副鼻腔炎(蓄膿症):副鼻腔に炎症が起き、膿がたまる疾患です。鼻づまり、黄色い鼻汁、顔面の圧迫感・痛みなどの症状が見られます。
  • 鼻出血(鼻血):繰り返す鼻血や止まりにくい鼻血は、粘膜の処置が必要な場合があります。
  • 鼻中隔弯曲症:鼻の左右を隔てる壁(鼻中隔)が大きく曲がり、慢性的な鼻づまりの原因となる状態です。
  • 急性咽頭炎・急性扁桃炎:のどの痛み、発熱、飲み込みにくさを伴うのどの炎症です。細菌性の場合は抗菌薬による治療が行われます。
  • 扁桃周囲膿瘍:扁桃炎が悪化し、扁桃の周囲に膿がたまった状態です。強い痛みや口が開きにくくなる症状が出ます。
  • 声帯ポリープ・声帯結節:声の酷使などにより声帯にポリープやタコのような結節ができ、声がかれる(嗄声)原因となります。
  • 喉頭炎:喉頭(声帯を含むのどの奥の部分)の炎症で、声がれや咳が続くことがあります。
  • 睡眠時無呼吸症候群・いびき:睡眠中に呼吸が止まったり、大きないびきをかいたりする状態です。鼻やのどの構造的な問題が関与していることがあります。
  • 唾液腺疾患(唾石症・耳下腺炎など):唾液を分泌する腺に石ができたり、炎症が起きたりする疾患です。
  • 味覚障害・嗅覚障害:味やにおいがわからなくなる症状です。亜鉛不足や神経の障害、副鼻腔炎などが原因となることがあります。
  • 咽喉頭異常感症(のどの違和感):検査では明らかな異常がないのに、のどに何かが詰まっているような感覚が続く状態です。
  • 頸部リンパ節腫脹:首のリンパ節が腫れた状態で、感染症や炎症が原因となることが多いですが、精密検査が必要な場合もあります。

受診すべきタイミングの目安

※以下はあくまで目安です。症状の重さや組み合わせにより緊急度は異なります。不安を感じたら早めに医療機関を受診してください。

以下のような症状が見られる場合には、耳鼻咽喉科への受診を検討してください。

  • 耳の痛みや耳だれが続いている、または繰り返している場合
  • 聞こえにくさを感じるようになった場合(特に突然聞こえなくなった場合は早急な受診が重要です)
  • 耳鳴りが数日以上続いている場合
  • ぐるぐる回るようなめまいが起きた場合、またはめまいを繰り返す場合
  • 鼻づまり、鼻水が2週間以上続いている場合
  • 黄色や緑色の鼻汁が出る、顔面に痛みや圧迫感がある場合
  • 鼻血が頻繁に出る、または止まりにくい場合
  • のどの痛みが強く、食事や水分を摂るのがつらい場合
  • 声がかれた状態が2週間以上続いている場合
  • のどに何かが引っかかっているような違和感が取れない場合
  • いびきがひどい、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された場合
  • くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどアレルギー症状で日常生活に支障がある場合
  • 味やにおいがわかりにくくなった場合
  • 首にしこりや腫れを感じる場合

風邪の症状であっても、鼻やのどの症状が強い場合は内科よりも耳鼻咽喉科のほうが、患部を直接診察・処置できるため効果的な治療を受けられることがあります。特に突発性難聴は発症から治療開始までの期間が回復に影響するとされており、「突然聞こえなくなった」と感じたら、できるだけ早く受診することが大切です。

受診・診療の流れ

耳鼻咽喉科を受診した際の一般的な診療の流れを紹介します。

  1. 問診:まず、いつからどのような症状があるかを医師に伝えます。症状の経過、きっかけ、これまでの治療歴、アレルギーの有無、服用中の薬なども重要な情報です。
  2. 視診・触診:医師が耳鏡で耳の中を、鼻鏡やライトで鼻の中を、舌圧子を使ってのどの奥を観察します。首のリンパ節や甲状腺の腫れがないかも触診で確認することがあります。
  3. 検査:症状に応じて、聴力検査(純音聴力検査)、ティンパノメトリー(鼓膜の動きを調べる検査)、内視鏡検査(鼻腔や喉頭を直接観察)、アレルギー検査(血液検査や皮膚テスト)、画像検査(CT・MRI)、めまいの検査(眼振検査など)が行われます。
  4. 診断・治療方針の説明:検査結果をもとに、考えられる疾患や治療の選択肢について医師から説明があります。薬物療法、処置、手術療法など、症状や状態に合わせた治療計画が立てられます。
  5. 処置・治療:耳鼻咽喉科では、診察室でその場で行える処置が多いのが特徴です。耳あかの除去、鼻の吸引処置、ネブライザー(吸入器)による薬剤噴霧、のどの消毒などが行われることがあります。

初診時の所要時間は検査内容にもよりますが、おおむね30分〜1時間程度が目安です。再診では処置や経過観察が中心となり、短い時間で済むことが多いです。

耳鼻咽喉科で使われる主な検査・治療法

耳鼻咽喉科では、以下のような検査・治療法が用いられます。

  • 純音聴力検査:ヘッドホンをつけて、さまざまな周波数の音がどのくらいの大きさで聞こえるかを調べます。難聴の種類(伝音性・感音性)や程度を評価する基本的な検査です。
  • 内視鏡検査(鼻咽腔ファイバースコープ):細い管状のカメラを鼻から挿入し、鼻腔、咽頭、喉頭を直接観察します。声帯の動きやポリープの有無、腫瘍の確認などに用います。
  • ティンパノメトリー:鼓膜に空気圧をかけて鼓膜の動きを調べる検査です。滲出性中耳炎の診断に特に有用です。
  • CT・MRI検査:副鼻腔炎の広がりの評価や、腫瘍・内耳の異常の精密検査に用いられます。
  • アレルギー検査:血液中のIgE抗体を調べたり、皮膚にアレルゲンを少量つけて反応を見たりすることで、アレルギーの原因物質を特定します。
  • ネブライザー療法:霧状にした薬剤を鼻やのどに直接噴霧する治療法です。粘膜の炎症を鎮め、鼻づまりやのどの痛みの緩和に効果が期待できます。
  • 鼓膜切開・チューブ挿入術:滲出性中耳炎で鼓膜の内側に液体がたまっている場合、鼓膜を小さく切開して排液したり、換気チューブを留置したりする処置です。
  • 舌下免疫療法:アレルゲン(スギ花粉やダニ)のエキスを含んだ錠剤を毎日舌の下に置いて、少しずつ体を慣らしていく治療法です。3〜5年の継続が推奨されますが、体質改善が期待できる根本的な治療法として注目されています。
  • レーザー治療:アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまりに対し、鼻粘膜をレーザーで焼灼して腫れを軽減する治療法です。日帰りで受けられる医療機関も増えています。
  • 扁桃摘出術:扁桃炎を繰り返す場合や、扁桃肥大による睡眠時無呼吸がある場合に行われる手術です。全身麻酔下での入院手術が一般的です。

耳鼻咽喉科の選び方・ポイント

耳鼻咽喉科の医療機関を選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてください。

  • 検査設備の充実度:聴力検査室、内視鏡設備、CT設備などが院内にあるかどうかを確認しましょう。設備が整っている医療機関では、一度の受診で多くの検査を済ませることができます。
  • 得意分野・専門領域:耳鼻咽喉科の中でも、アレルギー治療に強い、めまい専門外来がある、音声外来があるなど、医師や医療機関ごとに得意分野が異なります。ご自身の症状に合った専門性を持つ医療機関を選ぶと、より適切な治療を受けやすくなります。
  • 舌下免疫療法への対応:花粉症やダニアレルギーの根本的な治療を希望する場合は、舌下免疫療法を実施している医療機関を選びましょう。
  • 小児の診察への対応:お子さんの受診の場合、小児の耳・鼻・のどの診察に慣れた医師がいるかどうかは重要なポイントです。お子さんが不安にならないよう配慮された診察環境があるかも確認すると安心です。
  • 日帰り手術への対応:鼻のレーザー治療や鼓膜チューブ挿入など、日帰りで対応可能な処置があります。入院せずに治療を受けたい場合は、日帰り手術に対応した医療機関を探すとよいでしょう。
  • 通いやすさ:耳鼻咽喉科の疾患は通院治療が必要になることが多いため、自宅や職場・学校から通いやすい立地かどうかも大切な判断基準です。
  • 予約制度・待ち時間:耳鼻咽喉科は患者数が多く、待ち時間が長くなりがちです。Web予約システムや順番受付システムを導入している医療機関を選ぶと、待ち時間を減らすことができます。
  • 連携体制:手術が必要になった場合や、より専門的な検査が必要な場合に、大きな病院への紹介をスムーズに行ってもらえるかどうかも確認しておきましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 風邪をひいたとき、内科と耳鼻咽喉科のどちらに行けばよいですか?

発熱や全身のだるさが主な症状であれば内科、鼻水・鼻づまり・のどの痛み・耳の症状など局所的な症状が強い場合は耳鼻咽喉科が適しています。耳鼻咽喉科では鼻の吸引やネブライザーなど、患部への直接的な処置が受けられるメリットがあります。

Q. 花粉症の治療はいつ頃から始めるのがよいですか?

花粉の飛散が始まる2〜4週間前から薬を服用し始める「初期療法」が効果的とされています。スギ花粉症であれば、1月中旬〜2月上旬頃に受診するとよいでしょう。舌下免疫療法を始める場合は花粉シーズンを避けて開始するため、6月〜11月頃の受診が一般的です。

Q. 耳あかは自分で取らないほうがよいですか?

耳には自浄作用があり、通常は耳あかは自然に外に排出されます。綿棒で奥まで掃除すると、耳あかを奥に押し込んだり、外耳道を傷つけたりする原因になります。耳あかが気になる場合や、耳あかが詰まって聞こえにくい場合は、耳鼻咽喉科で安全に除去してもらうことをおすすめします。

Q. 突然耳が聞こえなくなりました。様子を見てもよいですか?

突然片方の耳が聞こえなくなった場合は、突発性難聴の可能性があります。発症から治療開始までの期間が回復に影響するとされているため、できるだけ早く(目安として1週間以内、できれば2〜3日以内に)耳鼻咽喉科を受診してください。

Q. 子どもがよく中耳炎になるのですが、予防法はありますか?

小児は耳管(耳と鼻をつなぐ管)が短く水平に近いため、鼻やのどの菌が中耳に入りやすく、中耳炎になりやすい構造になっています。鼻をこまめにかむ(小さなお子さんは吸引してあげる)こと、鼻水が長引く風邪を放置しないことが予防につながります。

Q. めまいの原因が耳にあることがあるのですか?

はい、めまいの原因として内耳の異常は非常に多いです。良性発作性頭位めまい症(特定の頭の位置で回転性めまいが起きる)やメニエール病(めまい・難聴・耳鳴りを繰り返す)は耳鼻咽喉科が専門としている代表的なめまい疾患です。

Q. のどに魚の骨が刺さった場合、耳鼻咽喉科で取ってもらえますか?

はい、のどの異物除去は耳鼻咽喉科で対応できます。ご飯を丸呑みするなどの民間療法は、骨をさらに深く刺してしまう危険がありますので、無理せず受診してください。

Q. いびきの治療は耳鼻咽喉科でできますか?

いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因の一つとして、鼻やのどの構造的な問題(鼻中隔弯曲症、アデノイド肥大、口蓋垂の肥大など)が挙げられます。耳鼻咽喉科ではこれらの評価を行い、原因に応じた治療(手術や鼻閉改善治療など)を提案することができます。

Q. 声が出にくくなったのですが、受診すべきですか?

声がれ(嗄声)が2週間以上続く場合は、声帯ポリープ、声帯結節、喉頭炎など何らかの異常が起きている可能性があります。内視鏡で声帯の状態を確認できますので、耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。

Q. アレルギー検査だけ受けることはできますか?

はい、多くの耳鼻咽喉科でアレルギー検査(血液検査によるIgE抗体測定など)を受けることができます。自分のアレルギーの原因物質を知ることで、効果的な対策や治療につなげることができます。

まとめ

耳鼻咽喉科は、耳・鼻・のど・声帯・頸部といった重要な器官の疾患を専門的に診療する診療科です。風邪に伴う鼻やのどの症状から、難聴、めまい、アレルギー、声の異常まで幅広い症状に対応しており、直接的な処置が受けられる点が大きな特徴です。日常生活の質に大きく関わる症状が多いため、気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科に相談されることをおすすめします。適切な診断と治療を受けることで、快適な生活を取り戻す一歩につながるでしょう。

編集: 病院クチコミ検索 編集部 / 最終更新: 2026年02月

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