リハビリテーション科とは?診療内容・対応する症状・選び方のポイント

免責事項: この記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、医師の診断・治療に代わるものではありません。記事内容の正確性、適切性、有用性について一切保証するものではありません。ご心配の場合は、必ず医療機関を受診してください。

リハビリテーション科は病気やケガで低下した身体機能の回復を理学療法士などの専門スタッフとともに支援します。

リハビリテーション科とは

リハビリテーション科は、病気やケガ、手術後などによって低下した身体機能や日常生活動作の回復を専門的に支援する診療科です。「リハビリテーション」とは、ラテン語で「再び適した状態にする」という意味を持ち、単に身体機能を回復させるだけでなく、患者さんが社会生活に復帰し、その人らしい生活を取り戻すことを目標としています。

リハビリテーション科の大きな特徴は、リハビリテーション科専門医を中心に、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・義肢装具士・医療ソーシャルワーカーなど、多職種がチームを組んで患者さんの回復をサポートする点です。整形外科や脳神経外科などの治療で病気やケガそのものの治療が行われた後、リハビリテーション科が引き継いで機能回復に取り組むという連携体制が一般的です。

対象となる疾患は、脳卒中などの脳血管疾患、骨折や関節疾患などの運動器疾患、心臓疾患、呼吸器疾患、脊髄損傷、小児の発達障害など非常に幅広く、急性期から回復期、維持期に至るまでの各段階で適切なリハビリテーションプログラムを提供します。高齢社会の進展に伴い、フレイル(虚弱)や介護予防の観点からもリハビリテーション科の重要性は年々高まっています。

リハビリテーション科が対応する主な症状・疾患

リハビリテーション科では、機能回復や日常生活動作の改善が必要なさまざまな症状・疾患に対応しています。以下に代表的なものを挙げます。

  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)後の機能障害:半身麻痺・言語障害・嚥下障害・高次脳機能障害など、脳卒中後に生じるさまざまな障害に対して、運動機能訓練・言語訓練・日常生活動作訓練を行います。発症早期からのリハビリテーション開始が回復に大きく影響します。
  • 骨折後のリハビリテーション:大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折・脊椎圧迫骨折など、骨折後のギプス固定や手術後に生じた筋力低下・関節拘縮の回復を図ります。特に高齢者の骨折後は寝たきり予防のため早期リハビリが重要です。
  • 変形性関節症・人工関節置換術後:変形性膝関節症や変形性股関節症による痛み・可動域制限の改善、人工関節置換術後の歩行訓練・筋力強化を行います。
  • 脊髄損傷:交通事故や転落などによる脊髄損傷で生じた四肢の麻痺・感覚障害に対し、残存機能を最大限に活かした動作訓練、車椅子操作訓練、日常生活自立支援を行います。
  • 腰痛症・頸椎症:慢性的な腰痛や頸部の痛み・しびれに対して、筋力強化、姿勢改善、ストレッチ指導、物理療法(温熱・電気刺激など)を組み合わせた治療を行います。
  • パーキンソン病:進行性の運動障害であるパーキンソン病に対し、歩行訓練・バランス訓練・発声訓練・日常生活動作訓練を行い、生活機能の維持と転倒予防を図ります。
  • 関節リウマチ:関節の痛みや変形による機能障害に対し、関節保護の指導・筋力維持訓練・日常生活での工夫(自助具の活用など)を支援します。
  • 心臓リハビリテーション(心筋梗塞・心不全・心臓手術後):心臓疾患の治療後に、心肺機能の回復と再発予防を目的とした運動療法を、心電図モニタリング下で安全に実施します。
  • 呼吸リハビリテーション(COPD・肺炎後・呼吸器手術後):慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺炎後の呼吸機能低下に対し、呼吸法の指導・排痰訓練・体力向上のための運動療法を行います。
  • 嚥下障害(飲み込みの障害):脳卒中・神経筋疾患・加齢などによる嚥下機能の低下に対し、嚥下訓練・食形態の調整指導・口腔ケアを行い、安全な経口摂取と誤嚥性肺炎の予防を目指します。
  • 失語症・構音障害:脳卒中や頭部外傷後に生じた言語障害に対し、言語聴覚士が言葉の理解・表出・発音の訓練を行い、コミュニケーション能力の回復を支援します。
  • 廃用症候群(長期臥床による全身の機能低下):長期入院や安静臥床により生じた筋力低下・関節拘縮・起立性低血圧・認知機能低下などに対し、段階的な離床訓練と全身の機能回復を図ります。
  • 切断後のリハビリテーション:交通事故や糖尿病壊疽などによる四肢切断後に、断端の管理・義肢の適合調整・義肢を使った歩行訓練を行い、日常生活への復帰を支援します。
  • スポーツ傷害:靭帯損傷・腱断裂・疲労骨折など、スポーツに起因する傷害の治療後に、競技復帰を目標とした段階的なリハビリプログラムを提供します。
  • 小児の発達障害・運動発達遅滞:脳性麻痺や発達障害をもつ小児に対し、運動機能の発達促進・日常生活動作の獲得・コミュニケーション能力の向上を支援します。
  • がんのリハビリテーション:がん治療(手術・放射線・化学療法)に伴う体力低下・機能障害に対し、治療中から退院後まで段階的にリハビリテーションを提供し、生活の質の維持向上を図ります。
  • フレイル・サルコペニア(加齢性筋力低下):加齢に伴う全身の筋力低下・活動量低下に対し、運動療法・栄養指導を組み合わせたプログラムを提供し、自立した生活の維持と介護予防を目指します。

受診すべきタイミングの目安

※以下はあくまで目安です。症状の重さや組み合わせにより緊急度は異なります。不安を感じたら早めに医療機関を受診してください。

以下のような状況がある場合は、リハビリテーション科への受診や相談を検討してください。

  • 脳卒中や大きなケガの治療後、退院してからも身体機能が十分に回復していないと感じる場合
  • 骨折や手術の後、関節の動きが悪い、筋力が落ちたままで日常生活に支障がある場合
  • 歩行時にふらつく、つまずきやすくなった、階段の昇降が困難になった場合
  • 慢性的な腰痛や肩こりがあり、整形外科で治療を受けてもなかなか改善しない場合
  • 食事中にむせることが増えた、飲み込みにくさを感じるようになった場合
  • 言葉がうまく出てこない、発音が不明瞭になったと感じる場合
  • 心臓の手術後や心不全の治療後に、安全に運動を再開したいと考えている場合
  • 息切れが強くなり、日常生活の活動量が著しく低下した場合
  • 手指の細かい動作(ボタンかけ・箸の使用など)が難しくなった場合
  • 高齢のご家族の体力・筋力の衰えが目立ち、転倒や寝たきりが心配な場合

リハビリテーションは、開始が早いほど回復の効果が高いことが多くの研究で示されています。「もう少し自然に回復するかもしれない」と待つよりも、気になる症状がある時点で早めに相談することが、より良い回復につながります。

受診・診療の流れ

リハビリテーション科を受診した際の一般的な流れをご紹介します。

1. 問診・診察
リハビリテーション科専門医が、現在の症状・発症からの経過・既往歴・手術歴・現在の生活状況について詳しく聞き取ります。身体機能の評価として、関節の可動域・筋力・バランス機能・歩行能力・日常生活動作の自立度などを検査します。必要に応じて画像検査(レントゲン・MRIなど)や嚥下機能検査(VF検査・VE検査)を追加することもあります。

2. リハビリテーション処方・計画の立案
診察結果をもとに、患者さんの目標(歩けるようになりたい、仕事に復帰したいなど)を確認し、理学療法・作業療法・言語聴覚療法の中から必要なプログラムを処方します。リハビリの頻度・期間・到達目標を含む個別の計画を、多職種チームで作成します。

3. リハビリテーションの実施
各専門の療法士が、計画に基づいてリハビリテーションを実施します。理学療法では歩行訓練・筋力強化・バランス訓練、作業療法では手指の巧緻動作訓練・日常生活動作訓練・自助具の適合、言語聴覚療法では発声・嚥下・言語の訓練を行います。物理療法(温熱・電気刺激・牽引など)が併用されることもあります。

4. 定期評価と計画の見直し
定期的に機能評価を行い、回復の進捗を確認します。目標の達成状況に応じてプログラムの内容や強度を調整し、段階的に難易度を上げていきます。回復が進んだ段階で、自宅での自主訓練メニューの指導や、社会復帰に向けた支援(職場環境の調整・福祉サービスの紹介など)も行われます。

リハビリテーション科で使われる主な検査・治療法

リハビリテーション科では、機能障害の評価と回復のためにさまざまな検査法・治療法が用いられます。

検査・評価法

  • 関節可動域検査(ROM測定):ゴニオメーターという角度計を使って各関節の動く範囲を測定し、拘縮や可動域制限の程度を評価します。
  • 徒手筋力テスト(MMT):抵抗に対する筋力を段階的に評価し、筋力低下の部位と程度を把握します。0〜5の6段階で判定します。
  • バランス機能検査:片脚立位テスト・タンデム歩行・Berg Balance Scaleなどを用いて、静的・動的なバランス能力を評価し、転倒リスクを判定します。
  • 歩行分析:歩行速度・歩幅・歩行パターンを観察・測定し、歩行障害の原因と改善点を分析します。
  • 嚥下機能検査(VF・VE):嚥下造影検査(VF)ではバリウムを飲み込む様子をX線で観察し、嚥下内視鏡検査(VE)では内視鏡で喉の動きを直接確認して、嚥下障害の原因と程度を評価します。
  • ADL(日常生活動作)評価:FIM(機能的自立度評価法)やバーセルインデックスを用いて、食事・排泄・入浴・着替えなどの日常生活動作の自立度を数値化し、リハビリの効果測定に用います。

治療法

  • 理学療法:運動療法(筋力強化・関節可動域訓練・歩行訓練・バランス訓練)と物理療法(温熱療法・寒冷療法・電気刺激療法・超音波療法・牽引療法)を組み合わせて、運動機能の回復を図ります。
  • 作業療法:日常生活に必要な動作(食事・着替え・入浴・調理など)の訓練、手指の巧緻動作訓練、自助具や福祉機器の適合・使用訓練を行います。復職支援や趣味活動の再開支援も含まれます。
  • 言語聴覚療法:失語症に対する言語訓練、構音障害に対する発声・発音訓練、嚥下障害に対する嚥下訓練・食形態の調整指導を行います。高次脳機能障害に対する認知訓練も言語聴覚士が担当します。
  • 装具療法:短下肢装具・膝装具・体幹装具などの補装具を作製・適合し、関節の安定性確保や歩行の補助、変形の予防に活用します。
  • ロボットリハビリテーション:歩行支援ロボットや上肢リハビリロボットを用いて、反復的な運動訓練を効率的に実施し、神経回復を促進します。
  • 電気刺激療法(FES・TENS):機能的電気刺激(FES)は麻痺した筋肉に電気刺激を加えて動作を再現し、神経・筋の回復を促します。経皮的電気神経刺激(TENS)は痛みの軽減に用いられます。

リハビリテーション科の選び方・ポイント

リハビリテーション科を受診する際に、医療機関を選ぶポイントをご紹介します。

  • リハビリテーション科専門医の在籍:日本リハビリテーション医学会が認定するリハビリテーション科専門医がいる医療機関では、的確な機能評価と適切なリハビリ処方が期待できます。
  • 療法士の充実度:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がそろっている医療機関であれば、運動・日常生活・言語の各領域にわたる包括的なリハビリテーションが受けられます。
  • 施設基準と設備:リハビリテーション施設基準(脳血管疾患等リハ・運動器リハ・呼吸器リハ・心大血管リハなど)の届出がある医療機関は、一定水準以上の人員・設備を有しています。リハビリテーション室の広さや機器の充実度も確認するとよいでしょう。
  • 回復期リハビリテーション病棟の有無:脳卒中や骨折後の集中的なリハビリが必要な場合は、回復期リハビリテーション病棟を持つ医療機関が最適です。1日最大3時間のリハビリを毎日実施できる環境が整っています。
  • 疾患別の専門性:脳卒中リハビリ・心臓リハビリ・小児リハビリなど、ご自身の疾患に対する実績や専門性を持つ医療機関を選ぶことが効果的な回復につながります。
  • 通院リハビリの利便性:退院後の外来リハビリを継続する場合は、通院のしやすさが重要です。送迎サービスの有無や通院可能な曜日・時間帯を確認しましょう。
  • 在宅リハビリテーションへの対応:通院が困難な場合に、訪問リハビリテーション(療法士が自宅を訪問してリハビリを実施)に対応しているかも確認しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

  • Q. リハビリテーション科と整形外科の違いは何ですか?

    A. 整形外科は骨・関節・筋肉・靭帯などの運動器疾患の診断と治療(手術を含む)を行う科です。一方、リハビリテーション科は疾患そのものの治療ではなく、病気やケガの治療後に残った機能障害の回復と日常生活への復帰を専門とする科です。多くの場合、整形外科での治療後にリハビリテーション科が連携して機能回復をサポートします。

  • Q. リハビリに年齢制限はありますか?

    A. 年齢制限はありません。小児の発達障害からご高齢の方の介護予防まで、あらゆる年齢層に対応しています。むしろ高齢の方ほど、リハビリテーションによる機能維持・転倒予防の効果が重要とされています。年齢に応じた安全な負荷設定でプログラムが組まれるため、ご高齢の方でも安心して受けられます。

  • Q. 理学療法と作業療法の違いは何ですか?

    A. 理学療法は主に「基本的な動作能力」の回復を目指します。具体的には、立つ・歩く・起き上がるなどの大きな動作の改善が中心です。作業療法は「応用的な動作能力」と「社会適応力」の回復を目指し、食事・着替え・入浴などの日常生活動作や、手指の細かい動作、復職支援などを行います。両者を組み合わせることで効果的な機能回復が図れます。

  • Q. リハビリはどのくらいの期間行うものですか?

    A. 疾患や障害の程度により大きく異なります。骨折後の場合は1〜3か月程度、脳卒中後の回復期リハビリは最大180日間(高次脳機能障害を伴う場合は最大180日間)が保険適用の目安です。慢性疾患の維持期リハビリは、状態に応じて長期にわたることもあります。医師と相談しながら、適切な期間と頻度を決めていきます。

  • Q. 自宅でできるリハビリはありますか?

    A. はい、リハビリテーション科では通院時の訓練に加えて、自宅で実施できる自主訓練のメニューを療法士が指導します。ストレッチ・筋力トレーニング・バランス運動・関節の動きを維持する運動などを、患者さんの状態に合わせて具体的に指導します。自宅での継続的な取り組みが、回復の促進に大きく貢献します。

  • Q. リハビリは痛いですか?

    A. リハビリの内容によっては、関節を動かす際や筋力訓練時に一時的な痛みを伴うことがあります。しかし、療法士は患者さんの痛みの程度を確認しながら訓練を進めるため、過度な痛みが生じないよう配慮されます。痛みが強い場合は我慢せずに療法士に伝えてください。プログラムの調整により、痛みを最小限にしながら効果的な訓練が可能です。

  • Q. リハビリテーション科への受診に紹介状は必要ですか?

    A. 医療機関によって異なります。大きな病院のリハビリテーション科では紹介状が必要な場合が多いですが、クリニック(リハビリテーション科を標榜する診療所)であれば紹介状なしでも受診できることが一般的です。事前に受診予定の医療機関に確認することをおすすめします。

  • Q. 介護保険のリハビリと医療保険のリハビリの違いは何ですか?

    A. 医療保険のリハビリは、病気やケガの治療として医師の指示のもとで行われるリハビリです。一方、介護保険のリハビリ(通所リハビリ・訪問リハビリなど)は、要介護認定を受けた方が日常生活の自立維持・改善のために利用するサービスです。医療保険から介護保険への移行時期や利用条件については、主治医やケアマネジャーにご相談ください。

  • Q. 脳卒中後のリハビリは発症からどのくらいで始めるべきですか?

    A. 脳卒中後のリハビリテーションは、全身状態が安定していれば発症後できるだけ早期に開始することが推奨されています。急性期病院では発症後24〜48時間以内にベッドサイドでのリハビリを開始するのが一般的です。早期のリハビリ開始が機能回復を最大化し、廃用症候群の予防にもつながります。

まとめ

リハビリテーション科は、病気やケガで失われた身体機能の回復と、日常生活への復帰を専門的にサポートする診療科です。理学療法・作業療法・言語聴覚療法の各専門職が連携し、一人ひとりの状態と目標に合わせた回復プログラムを提供します。機能の低下や日常生活の困難を感じている方は、早期のリハビリテーション開始がより良い回復につながりますので、お気軽にご相談ください。

編集: 病院クチコミ検索 編集部 / 最終更新: 2026年02月

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